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「ブラックボックスである弁護士報酬」

2015/08/24

こんにちは。ダントツ。の戦略法務・コミュニケーションコンサルタントの佐藤眞紀世です。

 今日は経営コンサルタント業務そのものの話題を離れて,私の本業である弁護士業務,なかでもブラックボックスである弁護士報酬についてお話ししたいと思います。

 多くの方から,法律事務所は「敷居が高い」とお叱りを受けるのですが,その理由のひとつに弁護士報酬が高額,幾らかかるのかわからないということが言われます。
弁護士報酬は,事前に契約書を交わすことが義務づけられていますが,それでもそのような指摘を受ける原因は大きく分けて4つあると考えます。つまり,①どれだけの手続が必要なのか事前には予想が困難であること,②専門性が高い業務であるために依頼者にはその手続の必要性が理解できない場合が少なくないこと,③そもそも単価が高いこと,④依頼者が把握している事実が真実の全部とは限らないことの4つです。

【どれだけの手続が必要なのか予想困難】
 実は,私たち弁護士にもどのくらいの時間と費用がかかるのか正確に見積りができない場合があります。相手がいない手続の場合にはおおよその所要時間と費用の予想はできるのですが,民事訴訟をはじめとする法律手続の多くは相手があることなので,その相手の対応次第では予想外に手続が長引く可能性があるからです。もちろん,逆に,相手の対応次第で予想外にあっという間に終わる場合もあります。ある程度の経験があっても,相手の対応までは的確に予想することは困難ですので,どうしても事前の説明が曖昧にならざるを得ません。ですので,まずは調停,相手が応じず調停で解決しなければ裁判,裁判で判決を得ても支払いをしてもらえなければ強制執行,強制執行もアテが外れればまたほかの財産に強制執行・・・などと,確かに,延々と手続が続く場合もないではありません。
弁護士報酬は手続きごとに決まるので,多くの手続を経なければならないとなればその分報酬もかさんでしまいます。

【「先生,その手続は必要なのですか?」】
 依頼者からは,どうしてそんなに面倒な手続をやらなければならないのかと質問を受ける場合があります。
 例えば,離婚。どんなに相手が酷い暴力や不貞行為をしていたとしても,原則として調停という裁判所での話し合いを持たなければならないことが法律で決められています。これまで散々話し合っても解決せず,相手に不信感だけを抱いている疲れ切った依頼者にしてみれば,無駄な手続に見えるのは当然です。
 また,賃貸しているアパートの住人が賃料滞納のうえ夜逃げしてしまった大家さん。早く次の人に貸したいので,夜逃げした住人がアパートに残した家財道具を自分で処分してしまいたいのが心情です。しかし,法律では自力救済,つまり,裁判所の手続を経ずに自分で実力行使に出ることは禁止されていますので,夜逃げした住人でも裁判手続によらなければ家財道具を処分できません。実は,この手続には膨大な時間とお金がかかりますので,大家さんがそのような手続に難色を示すのは当然です。
 このような手続でも,依頼者の気持ちが痛いほど理解できても,法律家である弁護士は,法律に従って粛々と手続を進めざるを得ません。
【弁護士報酬の単価】
 ロースクールが設立され,司法試験合格者も大幅増員されて競争が激化した結果,弁護士報酬の単価は平成20年ころから徐々に下がってきているのが現状です。
 だからといって,一般市民の方にとっては,まだまだ高額という印象はぬぐえません。例えば,自己破産の申立の報酬は,20万円~30万円程度が一般的です。2012年の大卒初任給の平均が20万1,800円ですので,破産状態なのに,一か月の給料以上の報酬を支払わなければならないのはかなり酷な話です。
 もっとも,最近,司法を利用しやすくすることを目的に国がバックアップして弁護士報酬・費用の立替制度(「法テラス」http://www.houterasu.or.jp/)ができたため,一括で弁護士報酬の支払いができない方でも比較的低額で分割払いもできるようになりました。また,自動車の任意保険では,事故に遭ったときに弁護士報酬や費用を保険会社に負担してもらえる弁護士費用特約も一般的になってきていますので,徐々に弁護士報酬の負担感は減ってきているのではないでしょうか。

【真実の全容】
 法律家になって最初に欲しいと思ったのは,「真実を録画できる神の目」でした。弁護士の場合は,依頼者の説明をまず何よりも一番に信頼することから始まりますので「神の目」が必要と思ったことはほとんどありませんが,司法試験に合格した後,検察庁で研修をしていたときには,何があったのかを見誤ってしまえば,えん罪を生み出しかねませんので「神の目」がどんなに欲しいと思ったことか知れません。
 また,依頼者が嘘をついていなくても,依頼者の記憶が誤っていたり,真実の全体像を把握しきれていなかったり,また,質問されなかったので全部を話していない等の事情で,依頼された当時に把握していた事実が,実は真実ではないということが後で判明する場合もあります。そのような場合には,やはり,着手した手続とは異なる手続を新たにとらなければならなくなり,別途費用がかかる場合もあります。

【まとめ】
 100円マック,100円ショップ,ユニクロを初めとする低価格帯の衣料品店など,世の中はデフレ傾向にあります。それにもかかわらず,いまだに大卒平均初任給ほどの報酬を頂く私たちですが,それに見合った専門家としての法的知識,事案分析・検討,最善の方針決定,迅速な法律事務処理を実現することに自負があります。素人判断で事を進めた結果,後から甚大な損害を被ることは少なくありません。そして何より,専門家に任せているという安心があります。将来の不安解消,安心のために,1日も早く依頼者が平穏な日常生活を取り戻すことができるよう,私たちには歯を食いしばり壁となって依頼者の権利を守る責務があります。このことは,ダントツ。戦略法務・コミュニケーションコンサルタントとしての立場であっても全く変わりはありません。

ダントツメンバーが交互に、独自の切り口により、ダントツでの取り組み等を皆さまにお伝えしていきます。
次回のメッセンジャーは、
総合経営コンサルタント 中小企業診断士、MBAの村本 太平です。

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